2015年10月18日

小説家になります。

 小さな頃、僕は仮面ライダーかウルトラマンになりたかった。職歴を遡ると、まずサラリーマンになり、脱サラをして芸人になり、喜劇俳優をしながら、時に作曲や作詞をし、やがて劇作家になって、株式会社を設立して社長になった。
 社長になった話はまたいつかの機会にするとして、とにかくそれはもう多種多様な仕事を務めてきた。おもしろそうな仕事であればすぐさま飛びついた。鳶職、花屋、中華料理屋、携帯電話の解約阻止、巻き寿司の叩き売り、ただただパチンコをするだけという得体の知れない仕事、飲食店の覆面調査員、そしてヒーローショーのヒーローもした。ミドレンジャー的な当時最先端の奴だ。

 そんなフリーターのプロのような僕がもうすぐ仕事を変える。2015年10月24日、僕にとって人生初となる小説が出版される。
 僕は小説家になる。

 小説家は便利だ。役者を集めなくてもいいし、劇場を借りなくてもいい。お客さんが本屋さんやネットで小説を買ってくれさえすれば僕のお芝居を観るのと同じような体験をしてもらえる。こんなに便利なことはない。
 それに才能さえ届けば僕は仮面ライダーやウルトラマンを生み出す人にもなれる。なれるんじゃないかなぁと思う。いや、たとえなれなくても仮面ライダーに似た何かや、ウルトラマンに似た何かは生み出すことができる。小説家となったからには想像の世界でヒーローに似た何かを創造すればいいのだ。独自性をもたせるために少しアレンジを加えて仮面を別の何か、たとえばアイマスクにでもして、ライダーをサイクリストにすればいいのだ。バイクから自転車への転向はエコでもあるし地球に優しい。もちろん視界を塞がれたアイマスクサイクリストは颯爽と事故るかもしれない。ヒーローかどうかも謎だ。でも僕はそれでも構わない。アイマスクをしているのだから仕方がない。常に目を休ませているヒーローがいて何が悪いのか。もしかすると寝ているのかもしれないがいいじゃないか。事故を起こしても想像の世界では誰も怪我をしない。むしろアイマスクをして自転車に乗るのは危険な行為なのだと読み手に想起させることによって怪我をする人が減るのだ。
 話がそれた。
 2015年10月24日に僕は小説家になる。「上方スピリッツ」というタイトルの小説を出版する。僕が所属していた劇団 スクエアに書き下ろした戯曲を元に、漫才師と構成作家とマネージャー、芸能事務所の社員たちや掃除のおばちゃんといった劇場で働く人々の人生の悲喜こもごもの物語。

 喜劇俳優としての僕を楽しんでくださった皆さまが、僕の小説を読んで楽しんでくださるとしたなら、この上なく嬉しいです。

余命半年の劇場のお話。
「上方スピリッツ」は、ジュンク堂千日前店や、紀伊國屋書店梅田店などでお求めいただけます♪
発売日は10月24日です♪

posted by 奈須 崇 at 15:19| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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